Netflix「バーシティ・ブルース作戦: 裏口入学スキャンダル」─渦中のセレブ、首謀者、大学が再び議論の対象に


富裕層や著名人の子供を名門大学へ不正入学させた事件を追うドキュメンタリー映画「バーシティ・ブルース作戦: 裏口入学スキャンダル」が2021年3月17日よりNetflixで配信される。

全米を揺るがせた事件の首謀者(リック・シンガー) とその手口を検証し、事実とフィクションを織り交ぜながら再現ドラマで徹底解剖していく。

左)リック・シンガー 右)シンガーを演じるマシュー・モディーン(©️AP Photo)

このドキュメンタリーは、舞台となるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(以下UCLA) や、南カリフォルニア大学(以下USC) の学生にとっても身近な出来事であり、全米規模のスキャンダルを再考するものでもある。

2019年3月スキャンダルに関与していたUSCは、今回の世界的配信によって再び注目を浴びることになるだろう。一方で学生たちは愛校心からスキャンダルの真相を知りたがっている。

USC Annenberg Mediaの投稿で、『多くの学生がスキャンダルのことを知っている。だけど全体像は知っていても詳細は知らないので、内部のスクープを知るという意味ではエキサイティングなことだ。』と、USCでコミュニケーションを専攻している3年生のオズワルド・モラレスは語る。

FBIによる捜査『Operation Varsity Blues(バーシティ・ブルース作戦)』と呼ばれるこのスキャンダルには、フェリシティ・ハフマン(『デスパレートな妻たち』『ロー&オーダー』に出演)や、ロリ・ロックリン(『フルハウス』のレベッカ役)などの有名人が関与しており、両者ともに裏口入学をさせた罪で収監されている。ロリは禁錮2ヶ月の刑を終え、最近釈放された。

ロリ・ロックリンの娘が通う南カリフォルニア大学(USC)

この配信をきっかけにスキャンダルが蒸し返され、学生たちはより具体的な内容を知る機会を得る。スキャンダルが発覚した当時1年生だったモラレスは、『このドキュメンタリーによって再びUSCにスポットライトが当たるのではなく、全米規模の問題であることが明るみに出ればと思う。』と述べている。

続けて、『いかに外部の仕事だったかを示し、USCが現在のように関与していないことを願うだけだ。』と期待を寄せている。

ここ数年Netflixは、『猫イジメに断固NO!: 虐待動画の犯人を追え』や『あるアスリートの告発』など飛躍的にドキュメンタリー作品の制作に力を入れている。同作で監督を務めるのは、『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』や社会現象を巻き起こした問題作『タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!』のクリエーター、クリス・スミスがメガホンを取る。

©︎ 1997-2021 Netflix,Inc.

解禁された予告編で描かれているのは美化されたストーリーなのか…この映画の真意に疑問を投げかけている。目的は教育なのか、それとも娯楽なのか?

ドキュメンタリー制作を専門とするSCAのアマンダ・ポープ教授は、この予告編は視聴者を興奮させるために『ドラマの誇大宣伝』と訴えている。

『予告編を確認したが再現シーンがいくつもあるように見えた。』と指摘し、『俳優が登場した途端にフィクションに寄っていき、視聴者の感情を煽っている。』と持論を展開。

ポープ教授は、事実とフィクションの間に “特定の境界線” はないが、業界内では倫理基準と違った点で知名度や評価を得ている映画制作者もいると強調し、『重要なテーマであれば、手を加えない方が、よりパワフルなストーリーになる』と付け加えた。

さらに、元USCの学生で現在はAnnenberg Mediaの編集者であるオースティン・ピーは、最近のポップカルチャーの出来事を劇的な方法で再現するのは『Netflixらしいこと』だと言う。

『事件から2年が経った。いまだに“バーシティ・ブルース作戦” に情熱を燃やしている人がいるが、USCのコミュニティのほとんどは前に進んでいる。』と語っている。

USC学校当局はドキュメンタリー配信についてのコメントを拒否しているが、2019年に学校側が最初に出した声明は注目すべき点だろう。


「バーシティ・ブルース作戦: 裏口入学スキャンダル」は2021年3月17日よりNetflixで配信開始。作品ページ・予告編は ▶︎こちらから

[Picture] ©︎ 1997-2021 Netflix,Inc.

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