ファン落胆…Netflix「1899」謎が明かされぬまま打ち切り決定 ─シーズン2はキャンセルへ


Netflixは、2022年ビッグプロジェクトのひとつ「1899」を正式に打ち切り、シーズン2へ戻ってこないことを発表した。

同作はNetflixで成功した『ダーク』のクリエイターによる期待の新シリーズで、1話あたり数百万ドルの製作費を掛けた最先端技術採用のドラマだ。

そんな野心的作品である「1899」はなぜキャンセルされたのだろうか?
視聴データや制作陣のコメントからその答えを紐解いてみましょう。


初、3つのシーズンを計画していたが…

バラン・ボー・オダー(右)、ヤンチェ・フリーセ(右2番目) / [Source Images] ©︎ 1997-2022 Netflix,Inc.

シーズン1は特大クリフハンガーで幕を閉じ、少なくともシーズン3まで続く予定だった。しかし、その謎は解明されないまま終えてしまった。

監督・プロデューサー・ショーランナーを務めたバラン・ボー・オダーは、2023年1月3日に自身のInstagramで『悲しいけど、本当なんだ…』と切り出し、次のようにコメントしている。

沈んだ気分だけど1899が更新されないことを伝えなければならない。

僕らはダークのようにシーズン2、シーズン3へと続き、この素晴らしい旅を終わらせたかったけど、物事は計画通りにいかないこともあるんだ。

…それが人生。何百万人ものファンを失望させることは分かっているよ。でも、この素晴らしい冒険の一部になってくれたことに、心から感謝したい。

僕らは君たちを愛してる。決して忘れないで欲しい。

ボー&ヤンチェ

と、相方のヤンチェ・フリーセと連名でファンへメッセージを送った。


Netflixが1899をキャンセルした理由は?

[Source Images] ©︎ 1997-2022 Netflix,Inc.

同社が番組の成功を測る主な指標として、(メディアやSNSなどの)インパクトバリュー、効率性のスコア、AVS(Adjusted View Share)と呼ばれる視聴者による価値評価、の数値で次シーズンを与えるかどうかを決定している。

「1899」に投じた多額の予算を考えると、新シーズンを保証するだけの期待には応えられなかったのは明らかだ。


─「1899」はどの程度のパフォーマンスを発揮したのか?

同社が公開している視聴データによると、2022年11月13日~12月18日の5週間はTOP10入りをキープし、総視聴時間〈2億5,716万時間〉の好成績を収めている。特に、初週はヨーロッパと中東の地域で首位を獲得し多くのポイントを稼いだという。

一方、米ニールセンのデータによれば比較的好調なデビューを飾ったが、『ウェンズデー』と『デッド・トゥ・ミー』の2番組に打ち負かされたと報じている。

このようなデータを見る限り、解約を示唆する赤信号や大きな落ち込みはなさそうだが…。


─では「1899」の打ち切りは完走率が原因?

確かに多くの視聴時間を稼いだが、どうやら番組を最後まで完了していないことが原因の可能性が高い。

以前、Netflixの幹部がVultureの取材で『ユーザーが視聴を完了した瞬間を知るのは何より嬉しいことだ。それは作品を愛し、隅々まで楽しんでいる証だからね』と、完走率の重要性を語っている。

英国のSVODデータ分析会社であるDigital iは、「1899」がエピソード1と2の間で大きな落差があり、視聴者は早い段階で番組を離れたことを指摘。50%以上の視聴完了率を獲得しなければ、最終的に更新されるのは難しいと続けている。
また、ヨーロッパ全域のパネルデータを用いた結果、最終話まで視聴した人は約32%に過ぎなかったという。

─その数値は他のNetflix番組に比べて低いのか?

TVTimeのトラッキングツールを使い、他のNetflixオリジナル番組と完走率を比較すると、前途の分析と同様に最後まで視聴した人が少ないことが伺える。

赤で表示されているNetflixオリジナル作品はキャンセルされたもので、緑の表示が更新されたものだ。

TV Time completion data for 1899

「1899」の制作国であるドイツTwitter民も、今回の発表には不満を募らせている。『結末を教えろ!』『“3シーズン”の予定だったのになぜ?』『これは、クリエイター、俳優、そして観客に対して失礼』と怒り奮闘。

一部のファンの間では、契約を解除すると脅したり、打ち切りに屈せず脚本家たちに未解決の謎をすべて解明するよう訴えている。

「1899」の作品ページ・予告編は▶︎こちらから

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