今年最も優れた作品を批評家により選出される『第86回 ニューヨーク映画批評家協会賞』が12月18日(現地時間) に発表された。
NYFCCは、批評家協会賞の中で最も歴史のある賞で特に芸術性や社会性を持った作品を奨励する傾向にあることから、アカデミー賞そのものにも影響を与えている賞だ。
■チャドウィック・ボーズマンに捧げる死後の受賞
Netflix作品からは、6月に配信されたスパイク・リー監督の「ザ・ファイブ・ブラッズ」で主演を務めたデルロイ・リンドーが主演男優賞を、そして2020年8月28日に大腸癌で長年の闘病生活を経て、43歳の若さでこの世を去った故チャドウィック・ボーズマンが助演男優賞を受賞した。
同作は、ベトナム戦争から半世紀、ともに戦ったアフリカ系アメリカ人の退役軍人4人が、ボーズマン演じる隊長の亡骸と、そこに埋められた金塊の隠し場所を見つけるため戦場へと舞い戻るストーリー。
COVID-19の影響で映画祭の初演もなければプレミア公開もなく、大々的な宣伝がないまま配信された本作は、スパイク・リー監督にとっては不本意な幕開けとなった。『将来的にはこの映画が大きなスクリーンで観ることができるようになればいいね。』と意欲をみせていることから、今回の受賞は後押しになるかもしれない。ちなみにスパイク・リー監督は同日、短編映画『NEW YORK NEW YORK』で特別賞を受賞している。
また、ボーズマンの遺作となったのは「ザ・ファイブ・ブラッズ」の後に撮影された、ジョージ・C・ウルフ監督のNetflixオリジナル映画「マ・レイニーのブラックボトム」となる。18日からNetflixで配信開始されており彼の最後の姿を観ることができる。
〈第86回 ニューヨーク映画批評家協会賞〉受賞一覧
- 作品賞:『ファースト・カウ』
- 監督賞:クロエ・ジャオ 『ノマドランド』
- 脚本賞:エリザ・ヒットマン 『ネヴァー・レアリー・サムタイムズ・オールウェイズ』
- 主演男優賞:デルロイ・リンドー 『ザ・ファイブ・ブラッズ』
- 主演女優賞:シドニー・フラニガン 『ネヴァー・レアリー・サムタイムズ・オールウェイズ』
- 助演男優賞:チャドウィック・ボーズマン 『ザ・ファイブ・ブラッズ』
- 助演女優賞:マリア・バカローヴァ 『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
- 撮影賞:シャビール・カークナー 『Small Axe』
- アニメ映画賞:『ウルフウォーカー』
- 外国語映画賞:『バクラウ 地図から消された村』
- ノンフィクション映画賞:『Time』
- 第一回作品賞:ラーダ・ブランク 『40歳の解釈: ラダの場合』
- 特別賞:キノ・ローバー 『KINO MARQUEE VIRTUAL CINEMA』
- 特別賞:スパイク・リー 『”NEW YORK NEW YORK” LOVE LETTER』