トニー賞受賞のリン=マヌエル・ミランダが監督を務める、伝記映画「tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!」(原題:Tick Tick… Boom! )が2021年秋にNetflixで独占配信されることが分かった。
イマジン・エンターテインメントが製作するこのプロジェクトは、2019年6月にNetflixが世界配信権を獲得し、これまでいくつかの情報が解禁されてきた。
ここでは現在まで分かっているキャスト情報や制作状況を紹介。
■「チック、チック…ブーン!」を観る前に押さておきたい4つのポイント
❶ トニー賞、グラミー賞、エミー賞、ピューリッツァー賞を受賞した作曲・作詞家で俳優でもあるリン=マヌエル・ミランダは、ニューヨーク・シティ・センターのアンコールミュージカル劇場シリーズのEncores! Off-Centerとして上演された『tick tick… Boom!』で主演を務めた経験がある。 本作では監督デビューを果たすが、現在のところ出演の予定はない。 |
❷ 原作は、トニー賞やピューリッツァー賞受賞の大ヒットミュージカル『レント』の生みの親である劇作家ジョナサン・ラーソンによる代表作のひとつ。ストーリーはジョナサンの自伝的要素が反映されている。 |
❸ 今回の映画化は、舞台版をベースに制作される。脚本家には、『ディアー・エヴァン・ハンセン』『Fosse/Verdon (日本未上陸)』で知られるスティーヴン・レヴェンソンが執筆する。 |
❹ 正式なリリース日は明らかになっていないが、▶︎ティザートレーラーによると2021年の秋に配信が決定した。 |
■残された時間で何ができる─?アラサー夢追い男の末路とは
舞台は1990年のニューヨーク。食堂のウェイターをしながらミュージカルの作曲家を目指すジョナサン・ラーソンが、創作中のミュージカル作品『Superbia』の成功を夢見る姿を描いている。
果たしてアメリカのミュージカル界で大ブレイクし、名声を手にする日は来るのか─?!
そんなブレイクのチャンスとなる公演を目前に控えたある日、ジョンはさまざまな要因によるプレッシャーで焦りを感じてた。
30歳の誕生日を前にこのまま夢を追い続ける価値はあるのだろうかと不安に駆られる日々…。一方でニューヨークを出て芸術活動を広げることを夢見る恋人のスーザン、夢を諦め経済的な安定を追い求める友人のマイケル、さらにはエイズのまん延で破滅的な影響を受ける芸術界。
残された時間で一体何をすべきなのか─? 刻一刻と期限を迫られる思いのジョンは、人生の岐路に立たされ、誰もが避けられない問いにぶつかるのだった。
■ジョナサン・ラーソンはどんな人物?
1960年アメリカに生まれたジョナサン・ラーソンは、トニー賞を受賞したミュージカル『レント』で成功を収めた劇作家・作曲家だ。
幼い頃から舞台芸術に触れて育ち、トランペット、チューバ、ピアノを習い学校の聖歌隊で歌っていたという。高校時代も舞台芸術に関わり続け、最終的には4年間の奨学金を得てニューヨーク州ガーデンシティにある名門校アデルファイ大学に入学した。
夏休みにミシガン州の演劇プログラムに参加した後、ニューヨークに戻りマンハッタンのアパートに引っ越したラーソンは、週末に『ムーンダンス・ダイナー』で働き、平日は作曲や作詞に励んでいた。やがてミュージカル『La Vie Boheme』のアップデート版を書こうとしていた劇作家のビリー・アロンソンとコラボレーションすることになる。
ラーソン自身の人生経験がミュージカルのページに反映され、後に大ヒットミュージカルへと発展していった『レント』。
何年もかけ取り組んできたプロジェクトがようやく日の目を浴びようとしたオフ・ブロードウェイ公演初日、悲劇的にもその朝ラーソンは急逝した。
死因は、未診断のマルファン症候群が原因とされる大動脈解離であった。ラーソンは亡くなる1週間前から、めまい、胸の痛み、息切れなどの症状があったが、医師からはインフルエンザやストレスという誤診断を受けていたことが分かっている。もし正しく診断され手術が行われていれば、ラーソンは生きていたと考えられている。
1996年の死後、『レント』の人気は急上昇した。ピューリッツァー賞(ドラマ部門)、トニー賞(最優秀ミュージカル賞、最優秀作曲賞を含む)など数々の賞は全て死後受賞によるものである。
■名だたる賞を総なめにしてきた実力俳優らが魅力を炸裂!
出演者にはミュージカル界にその名を轟かす実力俳優が多数出演している。
トニー賞に3回ノミネートされたジョシュア・ヘンリー、エミー賞受賞のブラッドリー・ウィットフォード、エミー賞・トニー賞両方を受賞したジュディス・ライト、トニー賞に3回ノミネートされたロビン・デ・ジーザス、アカデミー賞ノミネートのアンドリュー・ガーフィールドらの競演にも注目!
ジョナサン・ラーソン 役(別名:ジョン) 若きミュージカル作曲家 ───────── アンドリュー・ガーフィールド 出演作:『ソーシャル・ネットワーク』『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ | |
カレッサ・ジョンソン 役 『Superbia』に出演するミュージカル女優 ───────── ヴァネッサ・ハジェンズ 出演作:『ハイスクール・ミュージカル ザ・ムービー』『スイッチング・プリンセス』 | |
スーザン 役 ジョンの恋人でバレエダンサー ───────── アレクサンドラ・シップ 出演作:『X-MEN』シリーズ『Love, サイモン 17歳の告白』 | |
マイケル 役 ジョンの幼なじみ ───────── ロビン・デ・ヘスス 出演作:『キャンプ』『ボーイズ・イン・ザ・バンド』 | |
ロジャー 役 シンガーソングライターを目指す青年 ───────── ジョシュア・ヘンリー 出演作:『セックス・アンド・ザ・シティ』『ニューヨーク 冬物語』 | |
ローザ・スティーブンス 役 ジョンのマネージャー ───────── ジュディス・ライト 出演作:『アグリー・ベティ』『ザ・ポリティシャン』 | |
スティーブン・ソンドハイム 役 偉大なるミュージカル作家 ───────── ブラッドリー・ウィットフォード 出演作:『ゲット・アウト』『ザ・ホワイトハウス』 | |
モリー 役 ───────── ジョアンナ・P・アドラー 出演作:『アメリカン・クライム・ストーリー』『ブラックリスト』 |
劇中にも登場するスティーブン・ソンドハイムは、ブロードウェイの生きる伝説の男として知られており トニー賞8回、アカデミー賞1回、グラミー賞8回、ピューリッツァー賞1回、ローレンス・オリヴィエ賞1回のほか、2015年には大統領自由勲章を受賞し、半世紀以上にわたってミュージカル界、映画界に貢献している人物だ。
NYTimesのインタビューを受けたミランダ監督はキャスティングの裏話を明かしている。
最高だったのは、スティーブン本人に『ブラッドリー・ウィットフォードがあなたを演じる』とメールしたら、『誰だか知らないけど、ジェーン・オースティン* の登場人物のような名前だね』と返信があったんだ(笑)
*『プライドと偏見』などで知られるイギリスの小説家
■スタッフ
- 監督:リン=マヌエル・ミランダ
- 脚本:スティーヴン・レヴェンソン
- プロデューサー:ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード、ジュリー・オー、リン=マヌエル・ミランダ
- 製作総指揮::ジュリー・ラーソン、スティーヴン・レヴェンソン、セリア・コスタス
- 振付:ライアン・ハフィントン(Siaの『Chandelier』の振付で知られ、グラミー賞に2回ノミネートされている)
■制作状況・リリース情報
同作は、2020年2月より撮影が開始されたがCOVID-19の影響で中断されている。撮影はスタジオではなく主にニューヨークの街で撮影。
ロケ地にはジョナサン・ラーソンの元自宅の外で撮影していたというトリビアも出回っているという。
写真から分かるように、映画の大部分はセントラル・パークで撮影されている。
映画「tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!」は、2021年秋にNetflixで独占配信開始!予告編・作品ページは▶︎こちらから