Netflix初の米国製医療ドラマとして注目を集めた「パルス」が、わずか1シーズンで打ち切られることが明らかになった。
関係者には5月〜6月頃に通達があったとみられ、今回の発表で続編の計画は完全に白紙となった。更新の可能性も囁かれていたが、最終的には視聴データが決め手となったようだ。
米初のNetflix医療ドラマに幕
「パルス」は、米Netflixとしては初の本格医療ドラマとして 2025年4月3日に全10話が一挙配信された。ショーランナーを務めたゾーイ・ロビン、製作総指揮には『LOST』などで知られるカールトン・キューズが名を連ねている。
Netflix全体で見れば、韓国ドラマ『賢い医師生活』やイギリス発の『レスピーラ/緊急救命室』など、他国製の医療ドラマがすでにラインナップに加わっていたが、米国内製としては「パルス」が初の試みだった。
評価は伸び悩み、視聴者の支持を得られず
同作は配信初週こそ好調な滑り出しを見せたものの、その勢いは徐々に陰りをみせた。
大手レビューサイトRotten Tomatoesでは批評家からの評価が48%、視聴者スコアでも58%といずれも芳しくなかった。IMDbでは6.8と比較的健闘したが、全体的な反響としては「可もなく不可もなく」といった印象にとどまっている。

続編への布石もむなしく…
番組のプロモーション中、キャストや製作陣はすでに「シーズン2への構想」を語っており、WGA(全米脚本家組合)のデータベースにもシーズン2が一時的に登録されるなど、継続の兆しも見えていた。Netflix側も初期段階で投資を進めていたとされる。
しかし、結局それらは“開発中”にとどまり、制作のゴーサインが出ることはなかった。Deadlineによれば、打ち切りは1ヶ月以上前から水面下で決定されていたとされ、キャスト陣はすでに次の仕事に取りかかっていた。
視聴データが明暗を分ける
打ち切りの最大の要因となったのは、やはり “数字” だ。
Netflixの視聴ランキングでは配信開始から4週間にわたりグローバルTOP10にランクイン。累計再生時間は1億6210万時間、総再生回数に換算すると約2020万回を記録した。
しかし、その数字は徐々に下降。特に2週目から3週目にかけての視聴者数は62%減と大きく落ち込み、危険信号が点灯していたという。
地域別でみると 91ヶ国中82ヶ国でTOP10入りを果たし、特にイスラエルでは6週間にわたりランクイン。オーストリアやドイツ、イタリアなどでは4週間キープした。
表面的には善戦したように映るが、同時期に配信された他のドラマ──たとえば『ザ・レジデンス』(同じく打ち切り)や、『絶体絶命スクワッド』(視聴数は高かったが打ち切られた)と比べても、持続的な人気には至らなかった。
視聴時間や総再生回数といった数値に加え、完走率や制作予算など、外部からは把握できない要因も影響していたとみられる。
製作陣は今後もNetflixとタッグ
「パルス」は幕を閉じたものの、カールトン・キューズは現在Netflixと別プロジェクトを進行中のようだ。
作家ロバート・ラングドンと組み、ダン・ブラウンのミステリー小説『The Secret of Secrets(原題)』のドラマ化を進めているという。彼の次なるプロジェクトにも注目していきたい。
「パルス」シーズン1はNetflixで独占配信中。
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