実在する女詐欺師アンナ・デルヴェイの素顔に迫る真実に基づいたTVシリーズ「令嬢アンナの真実」(原題:Inventing Anna)が、2022年2月11日よりNetflixで配信開始する。
同シリーズは、『ブリジャートン家』や『グレイズ・アナトミー』『殺人を無罪にする方法』など数々のヒット作を世に送り出してきたプロデューサー、ションダ・ライムズが手掛ける社会派ヒューマンドラマ。
これは、ライムズとNetflixの間で結ばれている包括契約の一環で、『ダンスに夢乗せて: ホットチョコレート・ナッツクラッカー』『ブリジャートン家』に続く3作目のタイトルとなる。制作はライムズの会社であるションダランド社が担う。
(ちなみに、今年7月にNetflixはションダ・ライムズとクリエイティブコンテンツに関する契約範囲が拡大されている。それにより、彼女の制作会社であるションダランド、そして彼女の長年にわたる製作パートナー、ベッツィ・ビアーズが追加された。)
ライムズは現在数多くのNetflixプロジェクトに取り組んでおり、分かっているだけでも9タイトルが進行中だ。ラインナップの中でも『ブリジャートン家』にスポットライトが当たりがちだが、The Hollywood Reporterによると、実はNetflix社内で最も期待値が高いのが、この「令嬢アンナの真実」なのである。同社にとって、競合他社との激しい映像権争いで勝ち取った1本であり意欲を燃やしていることには注目したい。
前置きが長くなったが、早速「令嬢アンナの真実」のこれまでに分かっているプロット、キャスティングニュース、リリース情報などまとめて紹介していこう。
■アンナ・デルヴェイとは何者か?─1人の女性記者が、その素顔に迫る。
本作は、インスタグラムの女王アンナ・デルヴェイが起こした実際の事件に基づき映像化している。
彼女は優れた実業家か?それとも並外れた詐欺師か?ドイツの大富豪になりすまし、ニューヨーク社交界のセレブから信用と金品をだまし取った実話を描く。
そしてもう一人の主人公となるのが、アンナが裁判を待ち受けるかたわら、ニューヨーク最大の疑問となった “アンナ・デルヴェイとは何者か” という問いに答えを出そうと奔走するジャーナリスト。
いつしかアンナと記者の間には、愛憎入り混じった奇妙な絆が生まれていくのだった─。
シリーズの脚本は、プロデューサーも務めるジェシカ・プレスラーによるニューヨーク・マガジンの記事『How Anna Delvey Tricked New York’s Party People (原題)』に着想を得て制作されている。
なお、当該記事はニューヨーク・マガジンのWEBサイトには投稿されていないが、子会社の「The Cut」に掲載されている。
■事実は小説よりも奇なり… “アンナ・デルヴェイ”こと、アンナ・ソローキンの現在
2018年ニューヨーク・マガジンは、ロシア出身のある女が6,700万ドルの信託資金を持つ “ドイツの資産家の娘” を装い、ニューヨークのエリートたちを騙して数億円を奪ったという記事を掲載した。
彼女の本名はアンナ・ソローキン。“アンナ・デルヴェイ”という偽名を使い身元を隠していたソローキンは、芸術財団の設立や豪華な会員制クラブ開店の計画を持ちかけ、友人やニューヨークの企業から融資を募った。約10ヶ月に渡り合計27万5,000ドルを騙し取ったソローキンは、ブランド品を買いあさったり高級ホテルに泊まるなど、その金を贅沢三昧の暮らしに費やしたのだった。
ほどなくしてソローキンはマンハッタンの陪審員によって、重窃盗3件、重窃盗未遂1件、利益窃盗4件の罪で、2019年4月に有罪評決を受けた。裁判官は、『被告人の欺瞞(ぎまん)的行為に唖然とした』『この詐欺師はニューヨークの華やかさに目を奪われていた』などの問題点を指摘し、同年5月に最低4年の懲役刑を言い渡した。しかし、そんな状況下でも彼女は法廷で華やかな外見を保つため、スタイリストを起用し関心を集めていたという。
有罪判決を受けた際、ソローキンはニューヨーク・タイムズ紙に『私は後悔をしていない。もし(私が何かに対して)謝罪の気持ちがあると言ったら、あなたや他の人、そして自分自身にも嘘をついていることになるわ。』と語っている。続けて『自分の“やり方”を後悔している』と認めながらも、『私の動機は決してお金ではなかった…私は権力に飢えていたのよ』と心境を述べた。
ニューヨーク州の刑務所で約2年間服役した後、2021年2月に釈放されたソローキンはすぐにInstagramを再開。出所後の最初のインタビューでは、刑務所は『全くの時間の無駄だった』と語り、合法的なビジネスプランを持っていたがそれを実現する前に破綻したと有罪判決の不服を主張した。
ところが出所して間もなく、ドイツ国籍のソローキンはビザのオーバーステイにより米移民税関捜査局(ICE)の目に留まる。2021年3月25日から移民局の留置場に収容されてしまったのだ。
インサイダーによると、ICEは彼女の一部のSNS投稿が犯罪に対する反省の欠如を示していると主張し、身柄の拘束を続けるべきと判断。一方、ソローキンの弁護士は『何度も裁判所へ申請したり、連邦訴訟を起こしたりしたにもかかわらず、移民裁判所が道を塞いでしまった』と訴え、未だ移民局のステータスは宙ぶらりん状態となっている。
ちなみにNetflixは番組制作の権利料として、2021年1月にソローキンへ32万ドルを支払っている。彼女はそのお金のほとんどを被害者への返済や弁護士費用に充てているそうだ。
■アンナ旋風に巻き込まれる登場人物
アンナの犯罪をきっかけに、様々な人物が交錯していく─。主な登場人物・キャストは以下のとおり。
ヴィヴィアン 役 ネタのためなら手段を選ばない記者 ────────── アンナ・クラムスキー 出演作:『マイ・ガール』『Veep/ヴィープ』 | |
アンナ・デルヴェイ 役 NYのセレブから富を巻き上げる女詐欺師 ────────── ジュリア・ガーナー 出演作:『オザークへようこそ』『ダーティ・ジョン 秘密と嘘』 | |
トッド 役 アンナの弁護士で、家族思いの男性 ────────── アリアン・モーイエド 出演作:『キング・オブ・メディア』『ロック・ザ・カスバ!』 | |
ネフ 役 ホテルのコンシェルジュとして働く映画監督志望 ────────── アレクシス・フロイド 出演作:『NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち』 | |
レイチェル 役 アンナを崇拝し仕事も信用も失う ────────── ケイティ・ロウズ 出演作:『スキャンダル 託された秘密』『SUPER8/スーパーエイト』 | |
ケイシー 役 セレブのトレーナーでライフコーチ ────────── ラヴァーン・コックス 出演作:『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』 | |
ジャック 役 ヴィヴィアンの夫 ────────── アンダーズ・ホーム 出演作:『ワーカホリックス』『ゲームオーバー!』 | |
バリー 役 戦争特派員だったジャーナリスト ────────── テリー・キニー 出演作:『ビリオンズ』『リトル・シングス』 | |
ルー 役 過去の栄光にすがる記者たちの影のリーダー ────────── ジェフ・ペリー 出演作:『グレイズ・アナトミー』『ダーティ・ジョン 秘密と嘘』 | |
モード 役 独力で業界のトップに上りつめたジャーナリスト ────────── アンナ・ディーヴァー・スミス 出演作:『白いカラス』『レイチェルの結婚』 |
スタッフ
- クリエイター/製作総指揮:ションダ・ライムズ
- 製作総指揮:ベッツィ・ビアーズ
- 監督:デヴィッド・フランケル(『プラダを着た悪魔』)、トム・ヴェリカ(『ブリジャートン家』『アンブレラ・アカデミー』)、ンジンガ・スチュワート(『メイドの手帖』『トールガール』)
- 脚本:ジェシカ・プレスラー(『ハスラーズ』)、ションダ・ライムズ
■リリース情報
撮影はニューヨーク市周辺で行われ、COVID-19の影響で何度か延期されたが2020年に終了している。
全10話(各話60分)のエピソード構成で、リミテッド・シリーズとして配信。そのためシーズン2は制作されないフォーマットになる。
「令嬢アンナの真実」は、2022年2月11日よりNetflixで配信開始。
作品ページ・予告編は▶︎こちらから