古代ギリシャ神話を現代風にアレンジしたダーク・コメディシリーズ「KAOS/カオス」のサウンドトラックは、まさに現代的なジャンルとクラシック音楽がミックスした独特のトーンで形成されている。
ユーモラスでナンセンスな物語を演出するには、音楽もキャラクターの個性に反映されたものでなければならない。ディオニュソスの登場シーンでは、LGBTQ+コミュニティで人気のあるエレクトロニックなサウンドを、ゼウスはオペラやミュージカルのクラシック音楽に傾倒している。地上に住む人間たちにはロック、ソウル、インディーズ寄りだが、オルぺウスはバラード寄りの曲調…といったように。
全エピソードの音楽を担当したのはイザベラ・サマーズ。絶妙なバランスのサウンドトラックによって、番組はひとつ上のレベルに引き上げているのは間違いないだろう。
“Money For Nothing”
Dire Straits
プロメテウスの語りにより、オリンポス山から聳え立つ建物のショットが紹介される。ジェフ・ゴールドブラム演じるゼウスの身支度を映しながら曲は続く─。
“Hold On, I’m Coming”
Sam & Dave
クレタ島の風景を映しながら、人間のリディ(オーロラ・ペリノー)を紹介する。
“Largo al factotum”
The Barber of Seville
ゼウスが “Largo al factotum” に合わせて激しい雷雨を起こす。
“Gimme! Gimme! Gimme!”
ABBA
ゼウスの息子ディオニュソス(ナバーン・リズワン)がクラブで “Gimme! Gimme! Gimme!”に合わせて踊り、男女問わず絡み合うご機嫌なシーン。
“(Don’t Fear) The Reaper”
Blue Oyster Cult
腹を立てたディオニュソスがオリンポスから出て行くときに流れる。盗んだゼウスの腕時計をつけながら…。
“Kiss My Name”
Antony and the Johnsons & ANOHI
オルペウス(キリアン・スコット)がハゲた男の頭にサインをし、”Kiss My Name”をバックに車まで歩く。それはリディがシャワーを浴び車に乗っている間も続く。
“Future Starts Slow”
The Kills
リディが告解室で「ハイ、ママ」と言い、オルぺウスが熱狂的なファンの中を駆け抜けるシーン。
“Eurydice”
Killian Scott
オルぺウスがライブで披露する曲。本シリーズのために書き下ろされたオリジナル曲だ。
“Darkness Song”
Asaf Avidan
リディの死を知ったオルぺウスがステージ上で泣き崩れるシーンで流れる。カサンドラとタキタは悲しそうに道端に立つ…。
“A Picture of Me (Without You)”
George Jones
オルぺウスはリディのいない自宅に戻る。シリアルを開けおもちゃを見つめるシーン。
“I know What I kno”
Paul Simon, General M.D. Shirinda & The Gaza Sisters
リディが死者とボートに乗っているところ。
“Missing (Todd Terry Club Mix)”
Everything but the Girl & Todd Terry
クラブで “Missing” が流れる中、カネウス(ミシャ・バトラー)はアマゾン族から逃れようとする。
“The Passenger”
Siouxsie and the Banshees
オルぺウスとディオニュソスが渋滞の中を疾走している時に流れる。
“The Wizards”
Jimmie Rodgers
リディとその一行は階段を下りて地下鉄へと急がされる。一方、オルぺウスとディオニュソスがBARの 「The Cave 」に到着するところへと続く。
“Dance of the Sugar Plum Fairy”
Tchaikovsky
チャイコフスキーの音楽をバックに、ゼウスは記念碑について子供たちに電話しボイスメールを残す。
“The Way to Your Heart”
Hal David & John Cacavas
夫の愛人を蜂に変えた女王ヘラ(ジャネット・マクティア)は、養蜂場へ連れて行く。
“Tom Toms Jams”
David Steinberg
運命の人たちが紹介される。
“Heaven”
The Brute Chorus
プロメテウスが崖に鎖でつながれたままナレーションを務めるシーン。
“Escape (The Piña Colada Song)”
Rupert Holmes
復讐の女神フューリズはテレウスをガソリンスタンドのトイレに追い込む。
“Plaintive Verse”
John Ashton Thomas
除幕式で聖歌隊が歌った曲。
“Reet Petite”
Jackie Wilson
人々が記念碑を覆う糞に目をやり、大統領は犯人を見つけ出し罰すると叫ぶ。
“Games People Play”
Mel Torme
ポセイドン(クリフ・カーティス)とゼウスが船でロブスターと酒を楽しんでいるときに流れる。
“Paper Doll”
Brian Hyland
ポセイドンは船の上で女性に手錠をかけ溺れさせるシーン。
“Pack Up Your Troubles”
Dick Haymes
ヒッポリュテが闘技者と戦うシーン。
“Only Time”
Enya
ポセイドンがクレタ王ミノスの入浴中に突然現れる。
“Sull’aria… che soave Zeffiretto”
The Marriage of Figaro
ポセイドンがヘラを愛撫し、ミノスがソファに座り、7人目のトロイ人が捕らえられる場面。
“The Four Seasons: Summer”
Antonio Vivaldi
ゼウスはヴィヴァルディの曲に合わせてボールボーイを皆殺しに…。ヘラはポセイドンにゼウスの時計を奪い取ったか尋ねる。
“Sleeping on the Blacktop”
Colter Wall
プロメテウスは “Sleeping on the Blacktop” が流れる中、恋人カロンの首を刺す。
“Know the Ledge”
Eric B. & Rakim
ディオニュソスは子猫を抱いて通りを歩く。そして鳴り渡る公衆電話の受話器を取りポセイドンと話す。
“You Don’t Love Me (No, No, No)”
Dawn Penn
ディオニュソスは父の時計と同じものを探し時計屋に出向く。そこで猫を追い出そうとした店員を黙らせる。
“A Girl Like You”
Edwyn Collins
ポセイドンがヨットの上でヘラを誘惑しているときに流れる。
“Oh What A Beautiful Morning”
Oklahoma
ゼウスは地球上の自然災害のニュースを見ながら感情に浸っている。
“The Look”
Metronomy
ゼウスがヘラのバスルームに入り泣き叫ぶ人々の声を聞く。すると、彼はヘラがポセイドンにいやらしい言葉をかけているのを耳にする。
“Hunter”
Anna Calvi
オルぺウスが海岸に漂着し、カロンに準備はできているかと尋ねられる。
“Las Fleurs”
Minnie Riperton
一人の女性が苦しそうにBARから出て来て泣き崩れる。彼女に話しかけたディオニュソスは平手打ちを食らう。
“Waking Up”
Elastica
カネウスは執筆中、ウォークマンで “Waking Up!” を聴く。
“Time of the Season”
The Zombies
運命の人々がDive Barにたむろし、予言に逆らうことができるかどうかを話し合うシーン。
“Over the Rainbow”
Judy Garland
オルぺウスが冥界への扉をくぐり、BARの皆が祝杯を挙げるとこの曲が流れる。彼はすぐに水飲み場へ駆けつけ喉を潤す。
“Praise You”
Fatboy Slim
ディオニュソスがBARで酔っ払い、オルぺウスの状況をどう処理すべきか決めかねている時に流れる。その後、ポセイドンのもとを訪ねると、偶然ヘラとセックスしているところを目撃してしまう。
“Keep on the Sunny Side”
The Carter Family
カネウスの母親であるその女性は、かつて墓を掘った森の中に入っていき、息絶える。
“Peer Gynt Suite No. 1”
Orquesta Filharmonica De Hamburgo & August Riebe
ヘラたち家族がバーベキューをしながら、ディオニュソスを信じて秘密を守れるかどうか話し合う。
“Rosamunde, Furstin von Cypern, D. 797: II. Ballet”
Budapest Philharmonic Orchestra & Janos Kovacs
ディオニュソスは気まずい雰囲気の中、家族の集まりに入っていく。
“To Conquer Pain with Love”
Mariam The Believer
リディは生者の国へ帰るためにカネウスの元を去り、互いに涙する。
“Figure It Out”
Royal Blood
神々はミノスの予言が的中したことに気づき、パニックに陥る。
“I’m Alive”
Beth Dito
ゼウスは運命の三神と対面を果たすためBARに現れる。
“The Man Who Sold The World”
David Bowie
ゼウスは焼け落ちたBARの真ん中に佇み、本物の時計を見つめる。
“Hard Time”
Seinabo Sey
リディとオルぺウスは “Hard Time” をバックに地上へ戻る。カネウスがフレームについて考え、助けを求めて水辺に向かいながら、曲は続く。
“Sacrilege”
Yeah Yeah Yeahs
ゼウスは怯えたようにプロメテウスを見つめ、カオスの到来を告げられる。
“Aquarius/Let the Sunshine In”
The 5th Dimension
最終話のクレジットで流れる曲。
イギリス発のTVシリーズ「KAOS/カオス」シーズン1(全8話)はNetflixで配信中。
作品ページ・予告編は▶︎こちらから