犯罪者クラーク・オロフソンの驚くべき半生を、真実とフィクションを交えて描く、スウェーデン発の限定シリーズ「クラーク・オロフソン」(原題:Clark)が、2022年5月5日よりNetflixで配信される。
同シリーズは、スウェーデン史上最も物議を醸した悪名高き犯罪者 クラーク・オロフソンの生涯に迫った物語だ。オロフソンの自伝で明かされた事実と嘘に基づき、フィクショナルな視点で綴っている。
■クラーク・オロフソンとは何者か?
麻薬取引、殺人未遂、暴行、窃盗、数多くの銀行強盗などの罪に問われながらも、スウェーデン国民を惑わし人気をさらったクラーク・オロフソン。その美貌とカリスマ性で国中を虜にさせたことから『ストックホルム症候群』の生みの親として知られている。
『ストックホルム症候群』とは、人質や誘拐の被害者が、監禁中に捕獲者に対して信頼や愛情などの感情を抱く心理状態のことだ。(劇中では“オロフソン症候群”と呼ぶべき!と紹介しているが…)
“スウェーデンで最も有名な銀行強盗” として名を馳せたオロフソンだが、重罪を繰り返していたため、人生の半分を刑務所で過ごしている。
犯罪歴を辿ると、銀行強盗よりも刑務所からの脱獄が印象的とも言えるが、その中でも 1973年の『ノルマルム広場強盗事件』は、オロフソンの人生を揺るがす運命の転機であった。当時、仮釈放中だったヤンネ・オルソンは銀行に押し入り4人の人質を拘束すると、刑務所に収監されていたオロフソンの釈放を要求したのである。スウェーデンで初めてテレビで生中継された犯罪事件であり、国中がこの一部始終を見守っていた。
その後、警察はオロフソンを解放し2人は合流。あろうことかオロフソンは人質と親密になってしまい、やがて人質は彼へ感情移入するほど入れ込んでしまったのだ…。
これが 『ストックホルム症候群』の起源と言われている。
■クラーク演じるのはカメレオン俳優のビル・スカルスガルド!
『IT/イット』シリーズでは恐ろしいピエロ、『悪魔はいつもそこに』では愛情深い父親、そして本作でパーティーボーイの銀行強盗を演じるのは、スウェーデン出身の俳優 ビル・スカルスガルドだ。
知ってのとおり、ビルはハリウッドを席巻する芸能一家・スカルスガルド家の四男として知られ、ペニーワイズの怪演を皮切りに 近年ますます目が離せない存在となっている。
パートナーの女優アリダ・モルベリと娘のウーナと共に、ロサンゼルスやトロントなどの都市を10年近く飛び回った後、現在は再びスウェーデンに拠点を戻し俳優やクリエイターとして活動している。
ビルは今回、初めてキャストリストだけでなく製作総指揮としても参加している。
Cafe.se のインタビューで『当初、予算的にも無理があって本当に実現できるかどうか分からなかった。まさにカオスだった。』と、1話に300箇所のロケーションが設定されていたことなど、プロジェクトはこれまでになく大掛かりでチャレンジングであったことを明かしている。
『この作品が海外でどのように受け止められ、どのような観客を獲得できるのか、本当に楽しみだね。(監督の)ヨナスの作品のほとんどは、ある種カルト的な人気を得ているから、番組のトーンはおそらく…好きか嫌いか二極化するだろう(笑)その方が面白いけどね。少なくとも感情をかき立てるということだから』と話している。
シリーズは、クラーク・オロフソンによる自伝『Vafan var det som hände?(原題)』がベースとなっているが、まあ、それなりに真実もある。
『シリーズのキャッチフレーズは “真実と嘘に基づく” だろ?嘘は大文字で特筆すべきだね。この作品はクラークの視点で語られているんだ。クラーク自身、ある種の神話オタクみたいな所があって、それを念頭に置かなければならない。それでいて、ナレーションもあまり信用しないほうがいい。自分がひどい目に遭わせた被害者のことを考慮していないし、この番組もそうだ。そのあたりは知っておいて欲しい』とビルは話す。
一方で、クラークという男を解釈していくうちに『僕自身も(ストックホルム症候群の)犠牲になったんだ。彼を好きになっていた。今まで散々ひどいことをしてきた人なのに。』と、さらけ出す場面も。
監督のヨナス・アカーランド曰く、『彼なしではこの番組は作れなかっただろう。真面目で賢く、才能に溢れ、そして邪悪でハンサムな男』と、ビル・スカルスガルドこそ、クラーク役が適任だったと強調している。
■キャストにはスウェーデン出身の俳優がズラリ!
ビル・スカルスガルドはシリーズの主演を務めるため、ヴァイキングの壮大な復讐劇を描くアドベンチャー映画『The Northmen(ザ・ノースマン)』を降板したと伝えられている。
サブキャストもスウェーデン出身の俳優で固められているのが特徴だ。
アリシア・アグネソン(『ヴァイキング ~海の覇者たち~』『ザ・クーリエ』)、ヴィルヘルム・ブロムグレン(『ミッドサマー』『愛しい人から最後の手紙』)、アダム・ルンドゲレン(『ブルー・アイズ』『チェルノブイリ』)、マーリン・レヴァノン、サンドラ・イラー、ハンナ・ビョルン、ビョルン・グスタフソン などが出演している。
さらにクラーク・オロフソンの幼少期を演じるのは、スカルスガルド家7人兄弟の末っ子であるコルビョルンが抜擢されている。
■リリース情報
撮影は2021年3月31日から6月12日の期間、リトアニア、クロアチア、スウェーデンにまたがり様々な場所が舞台となっている。
メガホンを取るのは、マドンナ、レディー・ガガ、ビヨンセ、クリスティーナ・アギレラなど、ミュージックビデオの音楽監督として有名なヨナス・アカーランド監督が担当。シリーズの脚本・製作総指揮も兼任している。そして彼自身もスウェーデン・ストックホルム出身である。
「クラーク・オロフソン」は、2022年5月5日よりNetflixで配信開始。全6話のエピソード構成で、限定シリーズのフォーマットとなる。
作品ページ・予告編は▶︎こちらから