Amazonは26日、84.5億ドル(約9,200億円)という破格の金額でMGMを買収すると発表した。長い間Netflixと競合してきたPrime Videoだが、これは将来的にコンテンツ拡大するためのライブラリとIPの両面で多くの弾薬を与えることになるだろう。
ここでは今回の買収が米国内外のNetflixライブラリにどのような影響を与えるかについて掘り下げている。
■Netflixの映画ライブラリーに与える影響
MGMの映画は米国および海外のNetflixにライセンスされることもあるが、それは他の配給会社が決定権を持っている場合が多い。実際、Netflixは2015年以降MGMの映画をあまり扱っていない。(MGMの子会社であるEPIXとの契約が失効したことで、ライオンズゲートなどの作品とともに何十本もの映画が離脱している)
ちなみにMGMの初期の作品はすべてHuluに移行し、現在はパラマウントが担当している。
今Netflixで配信されているボンド映画含むMGMのコンテンツは、徐々にNetflixから離れていき新たな定住先を探すことになるだろう。もちろん、NetflixがMGMのライブラリを再び入札したり、アクセスしたりすることはこの先ないと考えるのが妥当だ。
■今後の NetflixとMGM Television プロジェクトの展開
これまでNetflixとMGMテレビ部門は複数のプロジェクトを開発してきた。
内、2020年1月にNetflixでリリースした「メシア」は視聴可能となっている。(残念ながら1シーズンでキャンセルされた)
そして現在、『アダムス・ファミリー』をベースにした「Wednesday (原題)」と、『ヴァイキング』のスピンオフ作品「Vikings: Valhalla (原題)」の、2つの大規模なTVシリーズがNetflixで制作中だ。
Netflixがこれらの番組を“Netflixオリジナル作品” としてすぐに利用できなくなることは考えにくいが、最終的にはPrime Videoに戻される可能性が高い。また、Netflixで配信中の『ヴァイキング 〜海の覇者たち〜』も将来的には配信終了となるだろう。
もちろんこれは世界的な注目作であってもNetflixでは視聴できないことを意味する。近年『スターゲイト』リブート・シリーズの開発が噂されているが、それが実現に至れば間違いなく最初にPrime Videoで独占配信されることになる。
結論としては、今回の買収はストリーミング戦争に新たな動きをもたらすのは間違いないだろう。Netflixに対しては、自社で買収するか、アウトプットを倍増させるか、ライブラリのライセンスを他社で探すか、のいずれかを迫られ圧力をかけることになる。