Netflix米国の映画ライブラリーは2015年から35%縮小傾向も、近年再び成長軌道へ


今日はNetflixの映画ラインナップを深堀りしていきましょう。豊富なラインナップを取り揃えたNetflixの映画は、数年前と同様に充実しているのだろうか? ここでは、近年映画賞で引っ張りだこのオリジナル映画の成長や、映画ライブラリー全体の品質など、経年変化を可視化している。

注意:国によって利用可能の作品が大幅に異なるため、ここでは本国であるNetflix USのライブラリーを参照している。


Netflix USの映画ライブラリーは、2015年以降35%以上縮小しているが、再び成長の兆し

Netflixオリジナル映画への巨額の投資にもかかわらず、映画ライブラリー全体としてはまだまだ縮小傾向にある。

Netflix US 映画ライブラリー

2015年5月、米国の映画ライブラリは4,752本を誇るラインナップを抱えていた。それが2022年5月と比較すると 3,015本まで落ち込みをみせている。

ライセンス契約作品(Netflixオリジナルを除く)だけを見ると、映画ライブラリーは7年前に比べ55%の大幅減少を記録。2015年5月時点でNetflixオリジナル映画が1本しかなかったことを考慮しても、ライセンス映画がNetflixから徐々に離れていることは明らかである。

Netflixは、過去10年間に映画とテレビ番組の両方で何千ものタイトルを失ったことを公表している。ReelGood のレポートによれば、2020年にまでに失われたタイトルが5,000本以上までに達し、2011年の保有タイトルはNetflix全体で11,000本となった。現在に至っては、Netflix US全体で約6,000タイトルにとどまっている。

とはいえ、Netflixは近年再び映画ライブラリーの増加へ向けた取り組みを開始している。2017年に2686本で底をついた映画ライブラリーであったが、オリジナル映画への投資と、世界中のスタジオとの新たなライセンス契約によりその数は増加してるという。


Netflixオリジナル映画はライブラリーの大部分を占める

Netflix全体のライブラリーは、2022年5月現在47%以上のオリジナル作品で構成されており、その数は2022年8月には50%に達する見込みだ。
映画に関してはそれほど劇的な数字ではないが、2022年5月現在、Netflix映画ライブラリーの30%強がオリジナル作品で占めている。

─では、Netflixオリジナル映画は何本あるのだろうか?

2022年5月5日の時点で、917本のNetflixオリジナル映画があり、今年の年末までに1,000本に達する可能性が高い。

また品質に関して一概には言えないが、IMDbスコアに基づくと、平均で約6点(10点満点)を保持している。


Netflixの主力映画は新しい作品?古い作品?

しばしばNetflixが受ける批判のひとつに、ライブラリーを保有するために古い映画に依存していることが挙げられている。しかし WONの統計によると、その疑問は正す必要がありそうだ。

現在Netflixにある映画の大半は2010年代のもので、次点で2020年代のものである。

Netflix USの映画ライブラリーを年代別に分類すると、以下のようになる。

▲映画ライブラリーの年代別内訳

Netflixはどこからライセンスの取得をしているのか?

2022年初頭の分析によると、ワーナー・ブラザースは依然としてNetflixに映画を提供する最大のライセンサーだ。4月1日時点で同社は23本の映画をNetflixに提供し、一方ユニバーサルは8本の提供にとどまった。

しかしワーナー・ブラザースがHBO Maxに注力している今、その蛇口の水はいずれ完全に断たれるのではないだろうか─。2021年1月、ジェイソン・キラール氏(当時ワーナーメディアCEO)が『ライセンス契約が毎月終了するとHBO Maxにタイトルが流れていくように仕組みが変わった。例えば今月のゴシップガールはそうだ。』とツイートしているのがその合図だ。

[Source Images] ©︎ 1997-2022 Netflix,Inc.

ソニーは、古い映画でNetflixへ積極的にライセンスしている重要な企業のひとつである。

Netflix USにおいては、ユニバーサル、ライオンズゲート、パラマウント、STXエンターテインメント、ヴァーティカル・エンターテインメント、その他小規模な配給会社からも映画ライセンスも継続している。ちなみに、ディズニー映画はライセンス契約を締結しておらず、20世紀フォックスの映画もほとんど更新されていない。

もちろん、これらの配給会社の多くは独自のストリーミングサービスを所有しており、また市場には多くの買い手がいるため、映画の配信権が出てくると当然需要は高くなる。

2022年以降、Netflixはファーストウィンドウの契約を更新しない方針から一転、ソニー、ユニバーサルと新たに公示された契約を締結している。ソニーは、ファーストウィンドウ期間中、アニメと実写の両方がNetflixに登場し、ユニバーサルは、アニメ作品が大半で実写は4年後くらいに登場する計画だ。いずれも、一部のライブラリー作品(2022年以前に劇場公開されたもの)がNetflixで配信されることが発表されている。

[Source Images] ©︎ 1997-2022 Netflix,Inc./ [Source] whats-on-netflix

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