© 2021 Home Box Office, Inc. All Rights Reserved.
誰もがNetflixにあったらいいなと思うタイトルをひとつは持っているが、先日ニューヨーク・タイムズのジャーナリストであるカラ・スウィッシャーのインタビューを受けたNetflixグローバルTV部門のVP ベラ・バジャリアがNetflixで観たいタイトルのトップ2をPadcastで明かした。
通常この種の記事を投稿することはないが、彼女が選んだ2つのタイトルの背後にある深い意味は、今後のコンテンツ戦略を理解する上で非常に重要であり、少なくともNetflixが目指すべきものを示していると考えている。
40分に及ぶインタビューでは、バジャリアの生い立ちやキャリアについて語っている。2016年にNetflixへ入社し、2020年にグローバルTV部門バイスプレジデントに就任した。以前はユニバーサル・テレビジョンの社長を務めている。全世界のドラマやリアリティショー製作の指揮を執り、「ペーパー・ハウス」「ウィッチャー」「クィア・アイ」など多くのヒット作を生み出した。
ここでは『Netflixの次のステップは?』と題したPadcastの中から、いくつか抜粋したインタビューを紹介する。
カラ・スウィッシャー
Netflixが持っていたらいいなと思う他社の番組はありますか?『マンダロリアン』?!『サクセッション』?!『フレイザー家の秘密』とか?!
ベラ・バジャリア
私はとにかくテレビが大好きなんです。だから、いろんな番組をたくさん観ています。
カラ・スウィッシャー
1つ選ぶとしたら?クリスマスみたいに手に入れることができるとして。
ベラ・バジャリア
1つ選ぶなら…『サクセッション』が好きよ。 『ゲーム・オブ・スローンズ』も大好き!
このHBOを代表する2つのシリーズは、おそらく誰の目から見ても上位にくるタイトルだろう。『ゲーム・オブ・スローンズ』の前に『サクセッション』を挙げたのはバジャリアの個人的感想とも受け取れるが…。しかし『サクセッション』は、その質の高さから当然の選択である。リリースされて以降、エミー賞やゴールデングローブ賞のタイトルを総なめにしHBOが持つ実力を如実に表した作品だ。
一方『ゲーム・オブ・スローンズ』は、HBOの成長に大きな原動力を与えた作品であったが、フィナーレを迎えると多くの視聴者がサービスを解約したことが報じられている。とは言え作品が持つ魅力的な世界観はコンテンツの拡大・提供を図ることができる無限の可能性を秘めている。
※「Succession」は日本において『サクセッション』『キング・オブ・メディア』『メディア王~華麗なる一族~』の邦題でリリースされている。
次にスウィッシャーが競合について質問したところ興味深い回答があった。
ベラ・バジャリア
競合他社の動向を知っていたとしても、そこにあまり時間をかけないのが賢明だと感じています。いつも肩越しに見ていては前に進むのが難しくなりますから。
さらに、ワーナーメディアとディズニーの市場参入について迫られると、次のように述べた。
ベラ・バジャリア
Disneyが、そしてWarner Brothersでさえ持つ優位性は間違いなく100年という歴史でしょう。長い歳月をかけ、彼らは多くの情報と知的財産、フランチャイズを持っています。ですが私たちはたった7年です。7年前からオリジナルコンテンツを作ってるのです。
競争が激化するストリーミング配信サービスついて具体的に話すよう求められると、彼女はDisney+ における独自コンテンツの称賛を始めブランドへの愛を語った。そしてHBO Max については『どのように展開していくかを見るのは面白いでしょう』と答え、スウィッシャーがすかさず “混乱”していくことかと踏み込んだが『HBOブランドは興味深いですから』と付け加えた。
バジャリアによると、Netflixの共同最高経営責任者であるテッド・サランドス氏が、過去にどうしても獲得したかった番組があったことも明かしている。それは2019年に配信権を争った『Fleabag フリーバッグ』だ。他のどの作品よりも勝ち取りたい番組であったがAmazon Primeに軍配が上がり獲得には至らなかった。結果的に同作は、エミー賞やゴールデン・グローブ賞で話題をさらい批評家から極めて高い評価を受けている。
Netflixは(特に大手スタジオと比較すると)まだ歴史が浅いため、追いつくまで時間は掛かるだろうが、『ゲーム・オブ・スローンズ』『サクセッション』『Fleabag フリーバッグ』に匹敵するクオリティで、愛される独自のコンテンツを確立できればストリーミング戦争でリードし続けることができるかもしれない。