Netflix「ビリオネアズ・シェルター」が打ち切り決定 ─シーズン2は実現せず、結末は未回収


2025年9月に登場したスペイン発のサスペンスドラマ「ビリオネアズ・シェルター」(原題:El refugio atómico/英題:Billionaires’ Bunker)が、シーズン1 限りで終了することが明らかになった。
世界的ヒット作『ペーパー・ハウス』のクリエイター陣が手がけ、Netflixスペイン史上でも屈指の製作費とスケールを誇った意欲作だったが、シーズン2は制作されない。


─水面下で進んでいた打ち切り判断

このニュースは、スペインの有力紙『El País』が報じたもので、同紙は別作品『ベルリン』シーズン2のニュースとあわせて、「ビリオネアズ・シェルター」が水面下でひっそりと打ち切られたと伝えている。

本シリーズは、豪華な地下シェルターを舞台に世界紛争の脅威から避難してきた一握りの富裕層たちを描いた災害スリラー。
出演者にはパウ・シモン、アリシア・ファルコ、ミレン・イバルグレン、アグスティナ・ビシオ、ホアキン・フリエルらが名を連ね、撮影はマドリード近郊のNetflix巨大制作拠点(トレス・カントス)で行われた。


─“主力作品”から一転、未回収のクリフハンガー

当初、同社の中では目玉作品として位置づけられたタイトルであったという。しかし、全8話のシーズン1は大きなクリフハンガーを残したまま終了。その結末は、今後描かれることなく宙に浮いたままとなってしまった。


─Netflix幹部とクリエイターの発言

NetflixスペインのコンテンツVPであるディエゴ・アバロス氏は以前、インタビューで『スペイン史上、これほど野心的なシリーズは存在しないだろう』と語っていた。

また、シーズン1配信時にスペインの映画情報サイト『Espinof』の取材に応じたクリエイターのアレックス・ピナは、次のように続編構想に触れている。
『最終話を書くために、物語を再開する地点はすでに考えていた。その直後に何が起きるか、さらに残酷でハードコアにするアイデアもある。ただシーズン2全体をどう構成するかまでは、まだ詰めていない』


─視聴成績は“悪くない”が決定打に欠けた

シーズン1は2025年9月14日〜10月12日の4週間、Netflix週間グローバルTOP10入りを果たし、総視聴時間1億5,200万時間/完走視聴数2,070万回を記録。スペイン発作品としては健闘した数字ではある。

一方で、90ヶ国の地域でTOP10にランクインしたものの、日別でのランクイン期間は世界平均20日、スペイン国内でも36日連続にとどまり、予算規模を考えると“伸び”が足りなかった可能性がある。さらに批評家からの評価も振るわず、Rotten Tomatoesでは33%の低スコアを更新してしまった。


─ピナ&ロバト体制、Netflixでの明暗

本シリーズは『ペーパー・ハウス』の生みの親であるアレックス・ピナとエステル・マルティネス・ロバトの共同制作によるもの。

ピナとロバトはこれまでに『ベルリン』『スカイ・ロッホ -赤い空の向こうに-』『ホワイトライン』など全Netflix作品に参加しており、ピナにとって5作目のNetflixタイトルであった。二人は過去10年近くNetflixと組んできたが、その歩みは一様ではない。
『ホワイトライン』1シーズンで打ち切られ、『スカイ・ロッホ』はシーズン3まで続いたが、『ペーパー・ハウス』ほどの視聴規模には届かなかった。


大きな構想とクリフハンガーを残したまま幕を閉じる「ビリオネアズ・シェルター」。この結末に、失望を感じる視聴者も少なくないだろう…。未完の物語が残した余韻はしばらく続きそうである─。

「ビリオネアズ・シェルター」はNetflixで独占配信中。
作品ページ・予告編は▶︎こちらから

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