3月15日に発表された2021年アカデミー賞のノミネートは、Netflixが最多の35部門を獲得した。これはアカデミー賞の歴史上、スタジオとしては2〜3番目に多い数だ。
今年のNetflixは、マーティン・スコセッシ監督による「アイリッシュマン」で健闘した2020年の24部門、そして有力視されていた「ROMA/ローマ」が配信された2019年の15部門を上回る記録となる。
アカデミー賞の歴史では、チャップリンらによって設立された映画会社ユナイテッド・アーティスツが1940年(1941年に受賞)に45部門のノミネートを獲得している。それに続くのは、2002年(2003年に受賞)の作品を発表したミラマックスで40部門を記録しているが、この数字にはアスタリスクが付いている。この年のミラマックス受賞作品のうち9部門は、パラマウントが劇場配給した『めぐりあう時間たち』で、これは共同制作によるものである。この9部門を40から差し引いた31部門とした場合、Netflixは1940年のUA以来オスカー候補の中で2番目に良い成績を収めたと言える。
Netflixの今年のアカデミー賞ノミネート作品は、「Mank/マンク」(10)、「シカゴ7裁判」(6)、「マ・レイニーのブラックボトム」(5)、「ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」(2)、そして「ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明け」、「ザ・ファイブ・ブラッズ」、「ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜」、「これからの人生」、「ミッドナイト・スカイ」、「オクトパスの神秘: 海の賢者は語る」、「フェイフェイと月の冒険」、「私というパズル」、「映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!」、「ラターシャに捧ぐ ~記憶で綴る15年の生涯~」、「愛してるって言っておくね」がそれぞれ1部門ずつ。中でも「Mank/マンク」と「シカゴ7裁判」は、最優秀作品賞にノミネートされている。 Netflixは、2年前の「ROMA/ローマ」で外国語映画賞、撮影賞、監督賞を受賞しているが、最優秀作品賞はまだ受賞したことがなく大きな期待が掛かっている。
以下、今年の主要なスタジオのアカデミー賞ノミネート結果となる。Netflixは2年連続で首位を獲得している。
■スタジオ別 オスカー・ノミネート数
スタジオ名 | ノミネート数 |
---|---|
Netflix | 35 |
Amazon | 12 |
ウォルト・ディズニー | 8 |
ワーナー・ブラザース | 8 |
フォーカス・フィーチャーズ | 7 |
A24 | 6 |
サーチライト・ピクチャーズ | 6 |
ソニー・ピクチャーズ・クラシックス | 6 |
ユニバーサル・シティ・スタジオ | 4 |
サミュエル・ゴールドウィン フィルム | 3 |
Apple | 2 |
マグノリア・ピクチャーズ | 2 |
ニューヨーク・タイムズ | 2 |
パラマウント・ピクチャーズ/MTVフィルムズ | 2 |
ロードサイド・アトラクションズ | 2 |
グラヴィタス・ヴェンチャーズ | 1 |
Hulu | 1 |
Super LTD | 1 |
Well Go USA | 1 |
ストリーミングサービスを提供するAmazonでさえ12部門を獲得する快挙を達成し、ディズニー、フォーカス、ユニバーサルといった大手映画レーベルの集計結果を上回った。
ディズニー全体で見ると、ディズニー/ピクサー/ディズニー・アニメーションが8部門、サーチライトは『ノマドランド』で6部門、Huluは『ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』で伝説のシンガー、ビリー・ホリデイを演じたアンドラ・デイが主演女優賞にノミネートされた1部門を合わせ、合計15部門獲得したことをアピールしている。
一方、昨年作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』で、外国語映画が初のアカデミー賞作品賞を受賞したNEONの作品は僅差で選ばれなかった。