『ファンの皆さんが最終回に驚き、そして満足してくれることを願っているよ』そう語るのはクリエイター兼ショーランナーのアルフレッド・ガフ。
彼が述べるようにシーズン2では、ウェンズデーと仲間たちが最高にダークで地獄のような試練に直面した。北の荒野で人狼化した親友イーニッドを追うウェンズデー。孤児に戻ったタイラーが教師のカプリと結ぶ意外な同盟。さらにはスピリットガイドとして再登場した元校長の旅立ち──このようにエンディングでは物語が大きく動き出したのだ。
しかし衝撃はそこからだ。ウェンズデーが失われたはずの叔母オフィーリアの日記を読み進めると…サイキック・ヴィジョンに引き込まれ、彼女の姿を垣間見ることになる。しかもその場所は、祖母ヘスターの屋敷の地下室。オフィーリアはそこで『ウェンズデーは死ななければならない』と壁に刻みつけていたのだ。
果たしてシーズン3への伏線はどこに潜んでいるのか──キャストとクリエイターが、シーズン2に仕掛けられた“13の謎”を徹底解説する。(インタビューはTudumより引用)
⚠️以下よりネタバレ注意⚠️
■オフィーリアは生きていた!? それは何を意味するのか

これまでオフィーリア叔母さんは “行方不明” として描かれてきたが、実際には生きていた。彼女の居場所を知る人物…それがグランママのヘスターであった。
オフィーリアの謎は断片的に積み重ねてきたが、その意図をガフはこう説明している。『最後のシーンで、視聴者が予想だにしない形で彼女の姿をチラリと見せる…これが当初からの計画だった。このサプライズがシーズン3へと繋がる仕掛けになっているんだよ』
視聴者はこう考えるだろう──オフィーリアはウェンズデーの味方になるのか、それとも敵になるのか。この疑問は特に二人のレイヴンが今ではサイキックな繋がりを持っているように見えるためだ。『まさにシーズン2で描かれる重要な問いだ。オフィーリアがアダムス家に加わったとき、どんな役割を果たすのか、何をもたらすのか─』と共同ショーランナーのマイルズ・ミラーは語る。
そもそもモーティシア・アダムスは長い間、娘と姉の類似性を気にかけながら過ごしていた。『モーティシアが抱えてきた懸念が現実になるのか─。それを見届けるのは実にスリリングだよ』とミラーは続ける。『長き不在が残した空洞と疑問の数々。オフィーリアの帰還は、アダムス家に爆発的なインパクトを与えるはずだ』
■成長と信頼の象徴─母が娘に託した日記とは

ウェンズデーが叔母の生存を知ったのは、モーティシアがついに娘へオフィーリアの日記を渡したからだ。この行為は『非常に大きな意味を持つ』とガフは強調。さらにミラーは、これがシーズン全体を通した感情の山場だと付け加えている。


『あの日記は、ある種の和解や受け入れそしてウェンズデーが大人になっていることを認める証なんだ』とミラーは語る。『それは信頼を示す瞬間であり、モーティシアにとっても特別な意味を持つ場面だ。ウェンズデーもその意図を理解している』
シーズン2ではプロデューサーも務めた主演のジェナ・オルテガは、共演者キャサリン・ゼタ=ジョーンズと成長の瞬間を共有できた喜びをこう振り返っている。『キャサリンとは最高のシーンを作れたし、本当に仕事がしやすかった。こんな素晴らしい方と母娘の関係を演じられるなんて、心からラッキーだと思うわ』
■ウェンズデーは超能力を取り戻したのか?

ウェンズデーにとっての重大な問題…それは超能力を失っていることだとオルテガは説明する。『ウェンズデーは超能力を使うのがとても上手くなっていた。でも使いすぎて自分でダメにしちゃったみたい。頭はいい子だけど、今回は前みたいにはうまくいかず難しくなったの』
そんな中、オフィーリアのヴィジョンを見たことで能力が『ある程度回復している』とミラーは控え目に語っている。しかし、この進化は単なる超能力の復活ではなく、積み重ねた試練による彼女の変化を示している。すべてをコントロールできないこと、そして母親とのぎこちない関係が能力に影響していることを学ぶのだ。
『シーズン終盤でモーティシアとウェンズデーが絆を深めると、二人の関係にも成熟さが見えてくる』とミラー。『だからシーズン3では、ウェンズデーの能力が完全に戻るかもしれない─そんな希望が持てるんだ』
■アルファとは何か?

イーニッドは満月を待たずして人狼へ変身することに成功した。彼女が『アルファ』の素質を持っていると警告した教師のカプリによれば、その特徴とは、成長が遅く、初めて変身したのがブラッドムーンの夜だったことなどが挙げられる。アルファは非常に力が強く、他の人狼から恐れられ、孤独を好むことが多い。
最終回でイーニッドは遂にアルファとしての力を証明し、ゾンビのアイザック・ナイトによって埋められたウェンズデーを救うために変身する。ガフによればその力は『諸刃の剣』だという。
『シーズン2でイーニッドはようやく群れの一員となり、望み通りの居場所を手に入れた。だが、新たに芽生えた力は皮肉にも彼女を再び孤独へと引き離すんだ。アルファは誰よりも優れたリーダーであると同時に、恐怖の対象でもある。果たして以前の自分に戻れるのか? そしてこの変化が彼女の人間関係にどんな波紋を広げるのか?』

エマ・マイヤーズは、イーニッドの新たな変化を『悲劇的だけど、同時にとても彼女らしい』と演者ならではの目線で語った。
『イーニッドはずっと群れに馴染もうと頑張ってきた。でもまた孤独に戻ってしまうかもしれない─そんな現実と向き合わなければならないの。ただ、人狼の物語に新しい要素が加わるのはすごく面白いし、これから先の展開も楽しみよ。ウェンズデーとの絆をさらに深めるきっかけにもなると思うし。結局のところ、2人は“のけ者”の中の“のけ者”なのよ』
■ウェンズデーはイーニッドを救えるのか?

『ファンはイーニッドのことを本気で心配したほうがいい。僕らも彼女の行く末が気がかりで仕方ないよ』とミラーは言う。
シーズン2で明かされたのが、アルファは一度変身してしまうと人間の姿に戻れなくなるという残酷な掟。危険すぎる存在として孤立を余儀なくされ、最期は同族に狩られてしまう運命なのだ。
『これはイーニッドにとって大きな試練で、そこから抜け出すのは簡単じゃない』とミラーは付け加える。
ただし希望の光もある。リスクを承知でウェンズデーを救うためにアルファ化を選んだイーニッドの決断は、二人の強い絆を象徴するものだった。
『女の友情、姉妹のような絆こそがこの作品の心臓部なんだ。今シーズン、二人の間には浮き沈みもあったけれど、あの犠牲の瞬間はイーニッドの物語を締めくくる素晴らしいクライマックスになった』とミラーは感慨深げに話した。

では、なぜイーニッドは命賭けでウェンズデーを救おうとしたのか?─演じたマイヤーズの答えはシンプルだ。
『だってウェンズデーは彼女の親友だから。私自身も親友のためなら同じことをする。誰だって大切な親友のためならそうするはずよ』
幸運なことに、イーニッドには名探偵ウェンズデーがついている。アグネス・デミル(演:イーヴィー・テンプルトン)から得た情報を手に車を走らせるだろう。
『イーニッドは人狼の姿のまま、カナダでとんでもない冒険を繰り広げることになるはず。でもそれは人間に戻る方法を見つける旅に出るということなの』とマイヤーズは明かす。
『イーニッドはきっとウェンズデーが助けに来てくれると信じている──少なくとも心の奥ではそう望んでいるでしょう』
■アイザックとフランソワーズの計画とは?

シーズン2では、ハイドとして生まれることが死刑宣告に等しい運命であることが描かれる。だからこそ、物語の数年前ネヴァーモアの学生だった天才科学者アイザック・ナイトは、妹フランソワーズのハイドの力を根絶する方法を編み出した。
彼はイアーゴの塔に特別な装置を作り上げ、親友でルームメイトだった若き日のゴメス・アダムスにその起動を頼んだ。電気を操る能力を持っていたゴメスは快く協力したが、実はその実験はゴメスの命を奪うという仕組み。若き日のモーティシアがゴメスを救い出し、装置を破壊したことで事故は防がれたが、爆発によってアイザックは命を落としてしまったのだ。
物語が進むと、スラープはゾンビから本来の姿へと戻り、その正体はアイザック・ナイトだったと明かされる。ウィローヒル精神医療施設の秘密プログラム “LOIS” から解放されたフランソワーズ、そして再び姿を現した息子タイラーと共に、ナイト一家は再会を果たす。


タイラーは両親が母を救うために装置を再稼働できると信じるが、真実は違った…。最終回で明らかになるのは、アイザックとフランソワーズの狙いはタイラー自身を機械にかけハイドの力を奪い去ることだったのだ。
『アイザックが戻ってきたときから、フランソワーズの心の奥底にはずっとその計画があった。彼女はただ息子を救いたかっただけ』とクリエイターのガフは語る。『このシリーズは突き詰めれば“家族の物語”。どんなドラマも、突き詰めれば家族の関係性に行き着くんだよ』
しかしタイラーにとってそれは裏切りに等しい。力を失えば自分の存在意義は消え、さらに母は命を犠牲にすることになるからだ。演じるハンター・ドゥーハンはこう語る。
『タイラーは怒りに満ちている。彼にとって力は唯一の拠り所だったからね。父親からは愛されず、今度は母親が身代わりに死のうとしている。たとえ短い人生でも、力を失えば自分には何も残らないと感じているんだ』
■ウェンズデーはなぜタイラーを救ったのか?

タイラーを救う計画には膨大なエネルギーが必要だった。アイザックは(失敗に終わったが)数十年前と同じやり方に立ち戻り、再びアダムス家の一員を拉致。今回犠牲になったのは、ウェンズデーの弟パグズリーだ。卑劣な企みを前にアダムス家が黙っているはずもなく、愛する家族を守るため再びアイザックの装置に立ち向かい破壊する決意を固める。
時計塔でタイラーを見つけたウェンズデーは、彼から『殺してくれ…』と懇願されるが、彼女は拘束具を斬り落とし解放するのだった。『外しただけよ』と。
ドゥーハンはこう指摘する。『ウェンズデーが外すなんてありえない』

ではなぜ彼女はタイラーを解放したのか?『本人ですら理由が分からないと思うよ』とミラーは言う。『普段は揺るぎない信念で突き進むウェンズデーが、思わず衝動的に行動してしまう…そんな意外性が今回の見どころさ』
さらにガフは、タイラーを解放した背景には戦略的な理由があると説明する。『弟を救い装置を破壊するための策略として、タイラーをあえて解放したんだ』つまりアイザックの計画に対して “注意を逸らし有利な状況を作る” ための戦略的な行動だったと言うのだ。
『そして彼女は、タイラーの中に何か特別なものを感じているようだね。口では “救いようがない” とか言っているが、心の奥ではどう思っているのやら…シーズン3ではその真意が明らかになるだろう』
■ハンド(シング)はアイザックの手だったって本当?!
最終回では、ナイト家最大の秘密が明かされる。なんとハンドはアイザックの右手だったのだ。アイザックは命を落とす前にモーティシアに手を切り落とされたが、その手は蘇りアダムス家の一員となった。
(ちなみに日本語版では『ハンド』と訳されているが、原作の正式名称は『シング』という名前)ビジュアルカードには実際『Thing』が『Night』のアナグラムであることも示されている。


『すべてはアダムス家に繋がっている。シングの誕生の秘密を明かすことで、観客に衝撃を与えたかった』とミラーは熱く語る。それもそのはず、クリエイティブチームはこのシーンが最終回で最大の驚きとして映るよう細心の注意を払ったという。
ナイト家はウェンズデーを森へ巧みに誘い出し誘拐した。その瞬間、アイザックは手袋を外し、失われていた右手を現すとハンドを自らの体に戻す─まさに衝撃の再会だ。
演じたオーウェン・ペインターは、この瞬間まで右手を隠していたため、シングとして本来の力を発揮できたときに大きな解放感を味わったという。ダ・ヴィンチは右手がなければ “何者でもない” とアイザックが説明するように、右手は能力の象徴なのだ。
ペインターは語る。『まるでこれまで背負ってきたすべての荷物から解放された気分だったよ。以前は身体のパーツをつなぐ装置や指に添え木をして固定したりと大変な準備をしていたからね』
しかし、アイザックが右手を取り戻した時間はそう長く続かなかった。アダムス家が彼の計画を阻止し、家に戻るよう懇願する。するとシングとアイザックの間で激しい戦いが勃発。アイザックの機械仕掛けの心臓を引き抜いて勝利を収めたシングは、自らの体から離れ、アダムス家の元へ戻るのだった。『あのシーンは本当に胸を打つ美しい瞬間で、我々が求めていたすべてが詰まっている』とミラーは感慨深げに話している。

そしてシングはアイザックの指輪(チェスの“ナイト”の駒がついたもの)を突き返す。こうして、シングのアイデンティティはついに自らの“手”に収まったのだ。
■タイラーの行く末は?

彼はいま最も精神的に追い詰められた状態にある。力は保持しているが、かけがえのない存在──母フランソワーズを失ってしまった。イアーゴの塔で勃発したハイド同士の戦いで、タイラーは意図せず彼女を殺してしまったのだ。
『アルとマイルズ(クリエイターの2人)と僕で話したんだけど、ハイドの姿になると感情が何倍にも強くなるんだよ。純粋な怒りしか残らない。タイラーはフランソワーズを殺したけど、悪意があったわけじゃないんだ』と演者のドゥーハンは説明する。『一方でタイラーはアイザックを強く恨んでいた。でも今やそんなアイザックも母も、拠り所となるものが何もない…あるのは喪失感だけなんだ』


そしてエンディングでは、フランソワーズの墓の前に立ったタイラーのもとに突如としてカプリ先生が現れる。彼女が口にした言葉は、タイラーにとって救いか、それとも罠か──あまりに魅力的な提案だった。
「母も支配者もいない新しい人生」─これは世界の目から隠れた場所で、仲間のハイドと支え合いながら暮らすことを意味する。タイラーは理解していた…ハイドという存在は主人を持たなければいずれ破滅すると。しかし彼は意外にもその提案を受け入れるのだった。
『タイラーには失うものが何もないからね。カプリはわずかでも希望を見せてくれた』とドゥーハン。『自分のため、そして母のためにも…まだ別の道があるなら確かめたい。これまでありとあらゆる選択肢を試みてきたのだから』
とはいえ、カプリの本当の目的はいまだ謎に包まれている。人狼でありながら父親がハイドであったことも明かされ『当然の驚きだよ(笑) カプリの行動は善意なのか、それとも裏の顔があるのか。彼女の正体も忠誠心の行方もまだはっきりしないんだ』とミラーは述べた。
カプリ役のビリー・パイパーは、自身のキャラクターの動機についてこう語る。『今のところは信じてるわ、疑う理由もないですから。ただ彼女の話はこれまでにない試みなの。“のけ者” に安全な居場所をつくるという発想が、そのうち社会実験のようなものに発展する可能性はあるけど…。でもそこに悪意があるのかはまだ分からない段階よ。これから次第ね』
一方、どんな新たな試練が待ち受けていようとドゥーハンは未来を見つめていた。『シーズン3でタイラーが “本当の笑顔” を見せるところを想像してみてよ。偽りの姿だったバリスタでの笑顔でもない、邪悪な笑みでもない、純粋な笑顔を。観る人にとってもタイラー自身にとっても、初めての瞬間になるだろうね。確かに彼には償うべきことも和解すべきことも山ほどある…決して楽な旅にはならないのは分かっている』
■ドート校長はどうなった?本当に死んだのか?

そう、ネヴァーモア学園は “またも” 校長の座を失った。
ビアンカ・バークレーを長年苦しめてきた『モーニングソング教団』の黒幕は、なんとドート校長だった。さらにドートは学園に潜り込み、自らの権力を使ってヘスターの財産を奪おうと画策したのだ。


ドートの数々の犯罪が暴かれると、彼はビアンカを人質に取り絶体絶命の状況を作り出した。火のついたシャンデリアが頭上に迫る中、エイジャックスがゴルゴンの力でドートを石化させる。しかし、落下するシャンデリアは無情にも彼の体を粉砕しついに命を奪ってしまった。
ガフはこの結末についてこう指摘する。『シャンデリアに火をつけたのはドート自身だった。誰も彼を殺そうとはしてないんだよ。つまりドートは自分で自分の首を絞めたようなものだ』
■ネヴァーモア学園の新しい校長は誰?

ウィームス元校長が無事あの世に旅立ち、ドートが粉々となった今、ネヴァーモアはシーズン3に向けて新たな校長を必要としている。一体誰がその座につくのか?
『この人が新校長だと聞いたら、みんな驚くと思うよ』とガフは予告している。
■ウィームスは永遠に去ったのか?ウェンズデーに新しいスピリット・ガイドは現れるのか?

ネヴァーモアの校長について言えば──ウィームスはウェンズデーの導き手としての役割をしばらく離れると宣言した。では、あの整った身なりの指導者は永遠に姿を消したのか?
『ネバーモアで永遠なんてあると思う?』とガフは冗談めかして言った。
■ヘスター・フランプは信頼できるのか?

ヘスターはウェンズデーにとって信頼してきた家族のひとり。しかしゴメスに対する侮蔑の思いや、オフィーリアにまつわる秘密が絡み合う中、状況は徐々に不穏なものになっていった。『白黒つけやすい話に見えるかもしれないが、キャラクター同士のつながりは複雑だ。シーズン3では隠された真実がさらに明らかになるよ』とガフは呼びかけた。
グランママの真実、そして他の“のけ者”たちの秘密は、ウェンズデーが帰ってくるシーズン3で明るみになる。ガフ曰く、シーズン3を『アダムス・ファミリー史上、最も暗い章』と呼んでいる。
シーズン3の続報をお待ちください!
TVシリーズ「ウェンズデー」シーズン1&2 はNetflixで独占配信中。
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